診断・評価は
どのように行う?
乾癬は、適切な問診と注意深い観察(視診)により多くの場合で診断が可能です。視診で診断がつかない場合は、皮疹部分の皮膚の一部をとって検査する皮膚生検を行います。また、関節炎が疑われる場合には画像検査や血液検査を行います。
診断・検査
一見して典型的な乾癬に見える場合でも、薬剤による湿疹や白癬が変化したものであることがまれにあります。診断の精度向上のためにも問診が重要です。問診では、下記のような内容を確認します。
既往の症状
視診では、乾癬の症状が出やすい部位を注意深く観察します。
足の裏、爪
視診で乾癬の典型的な症状が認められない場合、皮膚症状の程度が最も顕著な部位の皮膚を一部とって組織をみる皮膚生検(病理組織検査)を行います。
関節炎が疑われる場合、関節の破壊や変形を確かめるために、骨X線、超音波エコー、MRI、CT検査などの画像検査を行います。
メタボリックシンドローム関連併発症の有無や、治療前に肝機能、腎機能を確認するために血液検査が行われます。関節症状が疑われる場合は、RF(リウマトイド因⼦。関節リウマチかどうかを確認)、CRP(C反応性たんぱく。炎症の有無を確認)、MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3。関節リウマチによる関節破壊の程度を確認)という物質の量を測定する場合もあります。乾癬性関節炎は関節リウマチと症状が似ていますが、乾癬性関節炎の多くはRFが陰性であるため、RFは乾癬性関節炎と関節リウマチの鑑別に有用です。CRPは関節の炎症の程度、MMP-3は軟骨破壊の程度を確かめるために測定されます。
重症度の評価
治療方針の決定や、治療効果の判断にあたっては皮疹の程度、重症度の評価が重要となります。皮疹の重症度評価にはBSA(ビーエスエー)やPASI(パシ)が用いられます。BSAは簡便な評価法、PASIは最も広く使用されている評価法です2)。
全身の皮膚の面積を100%とし、皮疹の出ている面積が全身の何%にあたるかを計算します。計算には目で見て病変の広さを測る方法と、手のひらを使って測る方法があり、手のひら1枚分が体表面積の約1%とされます。BSA5%未満が軽症、5~10%が中等症、10%以上が重症とされます2)。
全身を4領域(頭、胴体、手、足)に分け、各領域について、紅斑、浸潤、落屑の程度を点数であらわします。
小宮根真弓, ほか. 困ったときに役立つ STEP UP乾癬診療.
東京: メディカルレビュー社; 2019.