生活の質への影響は?
乾癬は、皮膚症状や病名の響きから「うつる病気なのでは?」と誤解されることが多い疾患です。乾癬は決して人にうつる病気ではなく、皮疹に触れたり、お風呂やプールに一緒に入っても何の心配もいりません。しかし、このような誤解は患者さんの精神的なストレスにつながることから、乾癬があるとかかりやすい病気は?の項目で述べたようにうつ症状を併発する患者さんも多く、乾癬患者さんのQOL(生活の質)は、高血圧や悪性腫瘍など他の病気と比較してもかなり低下していることが報告されています1)。また、乾癬性関節炎の患者さんでは、関節痛や関節の変形のために日常の動作が制限される場合もあります。そのため、乾癬の治療においては、症状の改善だけではなく、QOLの改善も重要となります。
Rapp SR, et al. J Am Acad Dermatol. 1999; 41: 401-7.
QOLの評価
乾癬患者さんのQOLの程度と皮疹の重症度は必ずしも一致しないため、診療にあたってはQOLの評価も重要です。QOLの評価にはDLQIやPDI、SF-36などが用いられます。ご自分でも思い当たるところがないか見てみましょう。
最近1週間の皮膚症状が日常生活に及ぼす影響を点数化して評価します。「症状・感情」「日常生活」「レジャー」「仕事・学校」「人間関係」「治療」に関連した10項目の質問からなり、点数の範囲は0~30点で、点数が高いほどQOLが低下していることを示します。
乾癬だけに用いられるQOLの評価指標で、「日常生活」「仕事」「交際」「治療」に関連した15の項目について点数化し、最近1ヵ月間のQOLを評価します。点数の範囲は0~45点で、点数が高いほどQOLが低下していることを示します。
身体的健康度と精神的健康度を評価する方法で、「身体機能」「日常役割機能(身体)」「体の痛み」「全体的健康感」「活力」「社会生活機能」「日常役割機能(精神)」「心の健康」からなる36個の質問に対する回答を点数化し、点数が高いほど健康とされます。乾癬だけではなく、さまざまな疾患において用いられている評価法です。