療について

治療目標

乾癬の症状や見た目、現れる場所や生活への影響は患者さんごとに異なります。治療にあたっては、乾癬の種類や患者さんごとの症状、ライフスタイルに合った治療法を選択し、患者さんが抱えているさまざまな悩みの解決と生活の質(Quality of life;QOL)を高めることが目標となります。

乾癬は治る?

乾癬は皮疹の改善と悪化を繰り返す病気で、現在のところ完治させることが難しい疾患ですが、近年の治療法の進化により、症状がほとんど出ない状態(寛解状態)を維持することができるようになってきています。
症状が改善されている状態を長く維持するためには、患者さんが前向きに治療に取り組むことが何よりも重要です。「好きな洋服を着たい」、「プールや温泉に行きたい」、といった具体的な目標をもち、それを主治医にも伝え、乾癬と上手に付き合っていくことが大切です。納得して治療に取り組めるよう、気になることや不安がある場合には、遠慮せずに主治医に相談してみましょう。

治療法1)

乾癬の治療は大きく、「外用療法(ぬり薬)」、「光線療法」、「内服療法(飲み薬)」、「生物学的製剤(点滴もしくは注射)」の4種類に分けられます。また、膿疱性乾癬および乾癬性関節炎に対しては、「顆粒球単球吸着除去療法(かりゅうきゅう・たんきゅう・きゅうちゃく・じょきょ・りょうほう)」という治療も行われることがあります。
患者さんの重症度やライフスタイルに応じてこれらの治療法が選択されますが、状況に応じていくつかの治療法を組み合わせることもあります。

外用療法(ぬり薬)
外用療法は乾癬治療の基本であり、患者さんの多くが外用療法から治療をはじめます。免疫の働きを抑え炎症を鎮める「ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用薬」と、皮膚の細胞が過剰に増えることを抑える「ビタミンD3外用薬」が主に用いられます。それぞれに良い点、注意すべき点があり、組み合わせて使うことで症状をコントロールします。また、最近では両者の成分をあらかじめ配合したぬり薬も使われています。
治療薬 特徴
ステロイド外用薬 乾癬の症状のもととなる炎症を抑える働きがあります。効果の強さによってランクが5段階に分けられており、重症度や皮疹の部位に応じて適したランクの薬剤を選択します。効果が比較的早く現れるという特徴がありますが、長期間使い続けることで皮膚が薄くなり傷つきやすくなる(皮膚委縮)、毛細血管が浮き上がるなどの副作用には注意が必要です。
活性型ビタミンD3
外用薬
皮膚の細胞が過剰に増えることを抑えるとともに、正常な表皮細胞の分化を誘導して皮膚を良い状態に保つ働きがあります。ステロイド外用薬と比べて効果がゆっくり現れますが、一度効果がみられるとその状態を長く保つことができるといわれています。ステロイド外用薬のような副作用は出ませんが、ぬった部位に刺激感などを生じることもあります。
治療薬 ステロイド外用薬
特徴 乾癬の症状のもととなる炎症を抑える働きがあります。効果の強さによってランクが5段階に分けられており、重症度や皮疹の部位に応じて適したランクの薬剤を選択します。効果が比較的早く現れるという特徴がありますが、長期間使い続けることで皮膚が薄くなり傷つきやすくなる(皮膚委縮)、毛細血管が浮き上がるなどの副作用には注意が必要です。
治療薬 活性型ビタミンD3外用薬
特徴 皮膚の細胞が過剰に増えることを抑えるとともに、正常な表皮細胞の分化を誘導して皮膚を良い状態に保つ働きがあります。ステロイド外用薬と比べて効果がゆっくり現れますが、一度効果がみられるとその状態を長く保つことができるといわれています。ステロイド外用薬のような副作用は出ませんが、ぬった部位に刺激感などを生じることもあります。
光線療法1)
光線療法は、紫外線のもつ免疫の働きを抑える作用を利用した治療法です。外用療法で十分な効果がみられない場合などに行われます。紫外線にはいくつか種類がありますが、乾癬の光線療法では、長波長紫外線(UVA:ultraviolet A)と特定の波長を用いた中波長紫外線(Narrowband UVB:ultraviolet B)が用いられます。UVAを用いる光線療法を「PUVA(プーバ)療法」、特定の波長を用いたUVBを用いる光線療法を「Narrowband UVB(NB-UVB)療法」といいます。PUVA療法では、紫外線への反応を高める薬剤を内服、外用あるいはお湯に溶かして入浴した後に、UVAを全身に照射します。NB-UVB療法は、PUVA療法のように事前に薬剤を投与する必要がないため、光線療法において広く普及しています。副作用として日焼けや色素沈着などが現れることがあり、また、週に1、2回の通院が必要になります。
内服療法(飲み薬)
内服療法は、①広範囲に病変がある、②頭皮や爪などの治りにくい部位に病変がある、③ステロイド外用薬の長期使用により副作用が出ている、④QOL(生活の質)が低下している、など外用療法で十分な効果がみられない患者さんに行われます2)。重症度の基準としては「10の法則」(PASI>10、BSA≧10%、DLQI>10)がよく知られています3)
乾癬の治療に用いられる飲み薬には、皮膚に作用するお薬、原因となる免疫に作用するお薬、関節に作用するお薬などがあります。
生物学的製剤(注射薬)1)
外用療法や内服療法で十分な効果がみられない患者さんには生物学的製剤による治療が行われます。生物学的製剤は、乾癬の症状が出ている部位に大量に存在する炎症性サイトカインに直接働きかけ、過剰な免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善します。
乾癬の病態に関与する炎症性サイトカインにはいくつかの種類があり、生物学的製剤によってターゲットとするサイトカインが異なります。
生物学的製剤は高い治療効果が期待できる一方で、正常な免疫反応を抑える働きがあることから感染症などの副作用が起こることもあり、予防と対策が必要になります。そのため、生物学的製剤の開始は、日本皮膚科学会が認めた病院やクリニック(生物学的製剤使用承認施設)に限られています。生物学的製剤使用承認施設は、日本皮膚科学会のホームページで確認できます。
顆粒球単球吸着除去療法2)
顆粒球単球吸着除去療法は炎症に関わる白血球を選択的に取り除く治療法で、膿疱性乾癬および乾癬性関節炎に対する治療において保険適用が認められています。静脈から抜き出した血液を円筒状の装置に通し、装置の中で炎症に関わる白血球のみを選択的に取り除くことで炎症を抑えます。炎症に関与しない白血球は体内に戻ります。
参考⽂献
1)
小宮根真弓, ほか. 困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 東京: メディカルレビュー社; 2019.
2)
山本俊幸 編. 乾癬・掌蹠膿疱症 病態の理解と治療最前線. 東京: 中山書店; 2020.
3)
Finlay AY. Br J Dermatol. 2005; 152: 861-7.