みんなで考える市⺠公開講座シリーズ

「⽪膚の病気 患者さんの笑顔のために」
記録集
第4回
ひとりじゃない、
希少疾患の悩みに向き合う
~乾癬患者さんと
スティグマについて~
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日時:2022年5月14日(土)13:00~14:00
主催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
後援:一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会/NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT/
認定NPO法人 日本アレルギー友の会
乾癬とスティグマ
~たとえ乾癬を抱えていても、
明るく楽しく~
添川 雅之 さん(一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会 事務局長/NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT 副代表理事) 添川 雅之 さん(一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会 事務局長/NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT 副代表理事) 添川 雅之 さん(一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会 事務局長/NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT 副代表理事)
乾癬患者の苦悩
本日は乾癬とスティグマについて、乾癬の一種である膿疱性乾癬の患者としてのこれまでの経験や自分なりの考え方をお話しさせていただきます。
乾癬は、皮膚に境界がはっきりとした紅斑を伴う皮疹が現れる病気で、この皮疹の表面には鱗屑と呼ばれる白いフケのようなものが付着しており、ひっかくとパラパラと落ちます。このような症状は、乾癬では皮膚が生まれ変わるサイクルが通常よりも早いためにおこると考えられています。ですので、乾癬はカビや細菌などが原因で発症する病気ではありません。しかしながら、この”乾癬”という響きが”感染”と間違われ、伝染してしまう病気だと誤解されてしまうこともあります。
乾癬患者は身体的な苦痛もありますが、乾癬の症状が体にあることや他人に症状を知られてしまうことに苦悩を感じています。しかしながら、日常生活ではどうしても症状を他人に見られてしまうことはあります。そんなときに「私、乾癬なんです」とはなかなか言い出しづらいもので、また説明してもなかなか分かってもらえないことが多くあります。また、”感染”との誤解を避けるために「アトピーのような病気です」と説明してしまうなど、本当のことを伝えられずに非常につらい思いをすることもあります。
苦悩や悲しみに寄り添えたときに
優しさが溢れてくる
私自身、膿疱性乾癬の患者ですが、症状が悪化した際の自分の顔に非常にショックを受け、絶望的な気持ちになったことがありました。しかし、治療を経て、全身のどこにも症状がない状態となった時は、希望を取り戻したようなうれしい気持ちになったことを今でもよく覚えています。
そんな私の長い病歴の中で、周囲の言葉に傷ついた経験は何度もあります。例えば、タクシーの運転手さんからの「皮膚病は乗せたくないけども、乗車拒否できないから乗せてやる。できればおまえの触った金にも触れたくない」という言葉や、書店の店員さんからの「悪いけど、商品に触らないでもらっていいですか」という言葉にはとてもショックを受けました。ほかにも日常生活の中で、乾癬について正しい理解をもっていない人からは、「なにか悪いことでもしたんじゃないの?」「よく消毒した方がいいよ、菌を殺さないとね」といった言葉も受けました。
しかし、不用意に傷つける言葉を発してしまう人が悪い人なのかというと、私は必ずしもそうではないと思います。もちろん、不用意な言葉に対して許しがたい気持ちになることもありますが、人間は神様ではありません。軽い気持ちで言った冗談が相手を傷つけてしまうこともあります。
自分の皮疹を目にした相手が見せたぎこちない態度に不快な思いをした、という乾癬患者さんの話を聞くことがあります。しかし、よく考えてみると、その相手が今までほとんど皮膚疾患を持つ人と会ったことがなければ、そのような反応になってしまうことは当然かもしれません。むしろ、その当事者が持つ苦悩や悲しみを理解し、その気持ちに寄り添えたときに、初めて優しさという感情が溢れ出てくるのではないでしょうか。ですから、一瞬、驚かれたり、ぎこちない態度を取られたからといって、傷ついたり、怒る必要はないと思っています。
当事者が持つ苦悩や悲しみを理解するためには、病気に対する認知度や知識の向上が不可欠です。私は一患者としてのこれまでの経験を活かして、社会に対する疾患啓発や患者さんが乾癬を乗り越えていくことを目指す団体の活動に従事しています。一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会では、多くの人に乾癬という病気がどのような病気かを知ってもらうための活動の一環として、世界乾癬デーに合わせて啓発イベントを開催しています。また、NPO法人 東京乾癬の会 P-PATでは勉強会やイベント、相談医とのコミュニケーションなど、治療の正しい情報を得るための機会を積極的に作っています。
最後に
~患者さんへのメッセージ
皮膚疾患を抱える患者さんの多くは体や心の悩みを抱えており、私自身、嫌な思いをした経験も多くあります。しかし、相手の気持ちを考えられるようになったり、かけがえのない患者仲間や医療者と出会えたりと、乾癬になったことは決して悪いことばかりではなかったと今は思えます。今回のお話しが、皆さんにとってのスティグマに対する向き合いかたを考えるきっかけとなりましたら幸いです。
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質疑応答
周囲とのコミュニケーション方法について、
多くの質問が寄せられました。