みんなで考える市⺠公開講座シリーズ

「⽪膚の病気 患者さんの笑顔のために」
記録集
第4回
ひとりじゃない、
希少疾患の悩みに向き合う
~乾癬患者さんと
スティグマについて~
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日時:2022年5月14日(土)13:00~14:00
主催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
後援:一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会/NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT/
認定NPO法人 日本アレルギー友の会
質疑応答
講演に続いて行われた質疑応答では、
周囲とのコミュニケーション方法について、
視聴者から多くの質問が寄せられました。
そのなかからいくつかご紹介します。
日常の中でスティグマに気を付けたいと思いましたが、同時に思わぬところで相手を傷つけてしまわないか不安を感じました。そのように相手を傷つけてしまう例があれば教えていただきたいです。
熊谷先生
マイクロアグレッションの一種である”マイクロインヴァリデーション”があげられます。マイクロインヴァリデーションの代表的なやりとりの例として、スティグマで悩んでいる当事者に向けて、励ましのつもりで「あなたを個人として尊重していますよ」「考え過ぎじゃないの?」という声掛けがあります。このような声掛けが適切な場面もありますが、一方で当事者を否定してしまうこともあります。このような声掛けが常に間違いということではなく、文脈に依存しているという点がコミュニケーションの難しいところです。コミュニケーションは失敗の連続なので失敗を恐れる必要はありません。むしろ、振り返らずにやり過ごしてしまうことの方が問題です。もし相手を傷つけてしまったら、私の発言はマイクロインヴァリデーションだったかなと振り返ることが重要です。
偏見を減らすには対等な関係にあることが大切と伺いました。皮膚症状があることで相手に引け目を感じてしまうのですが、どうとらえればよいでしょうか?
熊谷先生
私自身も障害を持っていますので、仕事の場面や生活面で引け目を感じることは今でも毎日のようにありますし、それはなかなか簡単に解決することではありません。大事なことは引け目を感じているということをシェアできる相手を増やしていくことです。パーフェクトな存在として対等ではなく、膝を突き合わせて協力する存在として対等になっていくというイメージが大切だと思います。
添川さん
乾癬患者の一人として、皮膚症状があることに引け目を感じてしまう気持ちは非常によく理解できます。引け目を感じるなと言っても、それはなかなか難しいものです。私自身、乾癬をなるべく隠さないようにしていますが、やはり隠したくなる気持ちはあります。ただ、乾癬という病気を抱えていることは、自分の一部でしかなく、他にも自分のよいところはたくさんあると思います。なので、そのような自分のよいところに自信を持つことが大切だと思います。